呼吸は切り替わる~名前のない、もう一つの呼吸法~

呼吸 声 歌 心 体 演奏 バランス 整える 緊張 リラックス  潜在能力 聞く 感じる 伝える 存在 表現 充実

今更ですが、呼吸と血圧の話

深呼吸で血圧が若干下がることがあるというのは、皆さんもご存知かと思います。

以前ワークショップを受けてくださった方の中にも血圧が高めと診断されている方が居られて、呼吸に集中することで数値が下がるとご報告を頂いたこともあります。

健康診断での血圧測定に於いても、一度目が基準値を越えると二度目を計る前に先生や看護師さんが、「深呼吸をしてください」と促しますよね。

それ位に呼吸と血圧の関係性は西洋医学でも常識となっています。

ここから、僕の個人的な話です。

僕は色んな恐怖症を持っていますが、その一つが、電子血圧計恐怖症です。

あの腕帯というのが段階を踏まずにワンアクションのクレッセンドで締め付けて来るのが何回やっても怖いんです。

それでいつも、物凄い高めの数値が出て、直後にアナログでプシュプシュやってもらうと正常値の近くか正常範囲に下がります。

それで今日、ちょっと計測の機会がありまして、目の前にはやっぱり計測の機械がありまして。ところが今日は前以て先生が深呼吸の指導をしながら計測という形になったんです。

それで、いつものほったらかしにされての機械計測よりはちょっと低く出たのですが、それでもやっぱり高いことは高くて。

それで、もう一回ってなりましたら、最早アナログが無い近代的な施設でして。

それで、「機械だと何回やっても同じですよ」と言っても向こうもマニュアル上どうしても再計測させたいようでしたので、それで、「じゃあちょっと、自分でちゃんと呼吸させてください」と申し出てみました。

これまで、あんまりこのような一時的な数値やなんかに一喜一憂したことが無くて、このような場面で自分の呼吸に真面目に向き合うことも一度もありませんでした。

それで今日は初めて、自力を一切取っ払った純粋な呼吸を血圧の計測時に呼び覚ましてみたのです。

吸気は、身体各所の全ての細胞への酸素の供給が滞らず、かと言って、その前の吸気で取り込んだ酸素をしっかり使う前に新しく呼気→吸気に転じてしまうことは無駄なエネルギーの消費となることから、最も効率の良いタイミングをきっと脳の中でも原始的な部位が担当し反応して起こっていること。

呼気は、身体各所の全ての細胞でガス交換が行われた後の炭酸ガスを排出する為に、体が持つ弾性により自然と縮む力、萎む方向性と、そして、地面の方から引っ張る重力にも任せることで、ひとりでに出て行ってくれる。そして、それを心の眼で見ているということは、息は自分の努力で吐き切るのでは無い、全て任せて、自意識が慌てて新しい空気を吸おうと出しゃばる癖を回避させ、排出すべき呼気の出て行く様を見送っているという状態。

基本、呼吸に自意識は全く関与しない、全くの自力外であり、他人や自分の心に先導されてやる深呼吸は真呼吸では無い・・・、

というのを実践してみたんです。

まあ、腕帯が膨らみ始めてから計測終了までの僅かな時間で、しかも全てお任せの呼吸ですからワンサイクルが長くなって、呼吸の回数はほんの数回です。

それで、びっくりする位に正常値の範囲内も範囲内、低過ぎもせず、バシッと決まったもんですから、先生も余りの修正振りにちょっと顔が引き吊り笑いになりまして。

「それにしてもこんなに変わるか!?」という感じで、ホントにビックリして画面を凝視してました。

先生の血圧の方が心配な雰囲気でしたが。

自力から100%解放された本来の呼吸。それを冷静に認識しながら実現出来ている時、ストレスを多少なりとも抱えた現代人に取ってそれは、睡眠中の呼吸よりも寧ろ自然な状態に近い、より純度の高い呼吸となっているようです。

そして、世間一般で言われているような深呼吸や腹式呼吸は、自分の努力が関与している限りに於いて、リラクゼーションとしての限界があると思います。

それにしてもあの時の先生の顔、いい表情してくれてました。