呼吸は切り替わる~名前のない、もう一つの呼吸法~

呼吸 声 歌 心 体 演奏 バランス 整える 緊張 リラックス  潜在能力 聞く 感じる 伝える 存在 表現 充実

矢継早の更新

ところで、"~~になります。"という言い回しと、"成増(なります)"という駅名がかかっていたのには気付いてもらえてるのでしょうか(怒)

それはそうと、ここからは普段体の動きを実際に見たり体験して頂きなから納得してもらうことを、この自慢の筆力一つで説明しなければなりません。先が思いやられます(怒)←(※何で怒ってんの)

切り替わってない方の普通の呼吸と、切り替わった方の呼吸の違いを、より具体的に詳しく説明することは、大事なエネルギー表出の場面でその切り替わりを阻害することが如何に非効率であるかを説明することにもなります(今ちょうど帰路でまた成増駅を通過しました←※このシリーズはこれがラストです)

このことはやっぱり、腹式とか胸式という訳の分からない分類で呼吸を捉えても意味はありません。

でも、僕の論調でも少なくとも呼吸を二つのパターンに分けて考えているのですから、体のレベルでも二つに分けてみましょう。

体の前側と体の後側、全面(胸)と背面に。

ずっと以前に、体を前屈する動きと呼吸の関連を書いた覚えがあります(因みに"アリマス"って駅はあります?)。

自分の背中というエリアは、通常、よっぽどの事が無い限り肉眼では一生見られない箇所です。なのでお腹や胸といった前面に位置する体の部位と比べると随分意識も薄いことが多く、体を前に折り曲げると、「お腹が凹む」とは感じても、「背中が広がる」とは感じにくい。

逆もまた然りで、腰に手を当てて上体を反らした場合(別に腰に手は当てなくても良いですが。牛乳を飲む時も)、胸が広がるのは味わえても、背中が縮んでいるのを気に掛ける人はなかなか居ません。

そこから繋がって、前屈すると息は吐くもんだと思ってしまってる人が多いけれども、実際には、その時々で体の広がっているエリアの方に意識を向けるとそれに応じて息の流入を助けることになって、一回一回の呼吸の豊かさが増す。だから、前屈=必ずしも呼気じゃなくて、吸気も出来る、寧ろ、ヒトの体の構造上、後ろに反らすよりも前に屈めた方が可動域も広く、柔軟体操でも無い限りは膝だって自由に曲げても良い訳ですから、背中の広がりに任せて息を迎え入れる方が、楽に吸気の量をUPさせることが可能となる、とか、そんな内容を書いた筈です。

書いて無かったとしても今書いたので今これを読んでください。どないやねん。

この地球という星の地表で生きて行くための呼吸では、時には重力に抗い、時には重力に任せるという二面性がどうしても必要になります←(※・・・・・・何とか堪えました)

何せ先ずは肺という臓器をどうにかして膨らむように仕向ける必要があります。これは何も自意識で呼吸をコントロールしようという意味ではなくて、意識を介入させないレベルでも、生理現象としてそういう仕組みが必要という意味です。

命を効率良く繋ぐ意味では、呼吸という一つの運動においてさえ体力の消耗をほんの僅かでも少なくしたいのはやまやまなのでしょうが、息を吐く時か取り込む時のどちらかで、ちょっとのリスクは織り込み済みで重力に抗うことは避けられません。

それで、普段の呼吸を皆さんもじっと体感して頂けるとお分かりになるかと思いますが、吸気の時、重力が引っ張るのとは逆の方向に呼吸筋が作用して、更には、自分の体の伸縮性の幅の中で、中庸なサイズよりも少しでも膨らもうとして働いているのが感じ取れるのではないでしょうか。

魚などの肺を持たない水棲生物や単細胞の微生物などは、このような呼吸のちょっとしたリスクのようなものは無いのかなと想像したりもしますが、ここではそれは置いときます。

とにかく、通常の呼吸では、息を取り込む時にエネルギーを使って体を膨らませ、息を吐く時にはその努力をパタッとやめるという方策をヒトの体ではどうやら取っているようです。

なので、この呼吸のままで何かを表現しようとしても、肝心のエネルギーの表出時、息を吐き出す時には力を全て抜いてしまうので、力強いものは何一つ生まれ得ないことになってしまいます。

パフォーマンスの時に、力を抜いてリラックスしなさいと言われる事があるかと思いますが、あれは厳密に言うと、" 余分な " 力を抜け、ということであって、普段の呼吸の呼気時のような脱力とは全く意味が違います(そのように指導する人も意味をちゃんと説明出来るのかどうかは分かりませんが)。

そこで、ヒトの体の構造が重要なポイントとなりクローズアップされて来るのです。

息を取り込むには体の何処であれ、広がる箇所があればその広がりに応じて息は入って来ると言いました。

そして、体を前面と背面に分けて見てみましょうとも言いました。

胸を始めとした体の前面を広げるには、やっぱりどうやっても重力に逆らう必要があります。

ちょっとやってみてください。脱力すればする程、体の前面は萎んでしまいませんか。体の前面の意識をメインにしている限り、どうやっても吸気時の努力と呼気時の脱力のパターンから抜け出すことは不可能なのです。

が、反対に考えてみましょう。

上体の力を抜いてダラッとしてみると、背中の表面積が広がっているのに気付きませんか。

勿論、力を抜かずに意識的にグッと突き出すようにしても背中を広げることは容易ですが、それでは胸を広げようが背中を広げようがあまり意味は変わらなくなってしまいます。

ここで大事なのは、エネルギーを取り込む時に、次のターンとしての肝心なエネルギーの利用・放出に備えて、如何に消耗せずに静的な瞬間を実現出来るのかということです。

それで、体の構造と地球の重力を合わせて考察し観察した時に見えてくる事実、それは、脱力することで広がる唯一で最大のエリア、それが背中だ、ということです。