呼吸は切り替わる~名前のない、もう一つの呼吸法~

呼吸 声 歌 心 体 演奏 バランス 整える 緊張 リラックス  潜在能力 聞く 感じる 伝える 存在 表現 充実

敢えて触れていなかったとても大切なこと

昨日は記事を二度更新しました。

そこでは以前に書いたことの振り返りも含まれていて、二つのパターンの呼吸と体の関係を詳しく述べています。

その中で、敢えて詳しく述べていないこと、ワザと言い残してあることがあります。

それは、姿勢のことです。

でもこの姿勢のこととは背筋か延びていて正しいとか、猫背であるとか、それはまた後で出て来ることにはなりますが、今言おうとしている姿勢とは、起きてるか寝てるかという単純なことです。

それで、表現とか、積極的なエネルギーの放出をテーマにしているこの一連の記事では、実は起きてる時のことを中心に述べています。

もっとしっかり伝えるならば、地表から鉛直方向に立っている時だと思っていてください。

寝ていてもヒトは一定の表現をしますし、実際のところ、寝ている時の方が呼吸は楽にスムーズに出来ます。

これは、特に横隔膜に付いて言える事のようですが、四つ足で体を地面と平行に生きている動物と同じシステムのまんまでヒトは二足での直立歩行に移行したらしく、これから気の遠くなるような長い年月をかけて今の姿勢に合わせて進化するのだとしたら今はまだその過程であり途上ということで、地面と垂直に体を立てている時の呼吸は厳密に言うと決して効率の良いものでは無いということなんです。もしかすると肺を持つ動物の中で一番呼吸が下手なのがヒト、それと、レッサーパンダ風太だったのかも知れません。

但し、それと引き換えにと言いますか、そのような呼吸のリスクをも厭わずに背骨を天に向け立つことで頭をえらい高い位置にまで挙上させ、その副産物として言語まで獲得したのが我々人間です。

皆さんここで、例えば、朝方に自分はまだ布団の中でウトウトとしている最中に、家族や同居人やその他ちょっと後ろめたくてややこしい関係の人とか、まあそれは誰でも良いんですけど、先に起きて何処かへ行こうとしている時を思い描いてみてください。

それでその人は、「行ってきまーす」とか「じゃあねー」と言って出口に向かっています。

まだ微睡み状態のあなたはきっと、「うぅ~ん」とか「は~ぃ、いってらっしゃ~ぃ」とか、割りとどうでも良い返事をするかも知れません。

このレベルなら、寝たまんま、ベッド(さっきは布団って言ってた)に深く体を沈めたまんまで何の問題も無く、言葉の明瞭度なんかも全く気にはならずに声を出せるでしょう。

ところが急に、ハッと大事な何か、伝えたり聞いといたりしなければならないことを思い出したとします。

そうすると、どうなりますか。

これはその時の、まだ静かに寝ていたい欲求の度合いと伝えたい聞きたいことの重要度との相関関係にはなって来るのですけど、首をちょっと起こす、その方向性が大きくなると、ガバッと体を起こして、「帰りは何時頃になんのー」とか、「忘れ物無いのー」とか、「次また会ってくれるのー」とか言うでしょう。

言葉にして伝える内容が複雑で重要な程、体を真っ直ぐに起こした方が楽であることを体はちゃんと知っています。

それで、最も分かり易いのは二本脚で立っている時ですが、椅子や地べたに座っている状態でも、体がだいたい地面に対して垂直に起きていれば、脱力しただけで表面積が広がり、息を取り込む努力どころか、立っているという無意識の仕事すら一瞬手放すこと、つまり究極の陰の状態で最も効率良く空気を体に取り入れることを助けてくれる人体で最大のエリア、それが背中です、ということなんです。